飲食店開業について その④ 開業資金をためよう
ここまで、気持ちや覚悟、身に着ける能力について書きました。
次は、お金の話です。
何をやるにもまずお金がかかります。
飲食店開業はやり方にもよりますが、数百万から数千万の出店費用が必要になります。
造りこまれた飲食移動販売車による開業や、居抜き店舗の最小限の改装でも数百万。
スケルトンからの新設店舗となれば数千万。
平均を考えたとして、2000万から3000万が飲食店舗の開業必要資金ではないでしょうか。
そして、必要資金を金融機関から調達するにしても自己資金がないと話になりません。
最低でも1割から2割程度の自己資金が必要になるでしょう。
そのお金をどのように用意していけばいいのでしょう。
資産家の御子息とか、実家がすでに商売をしているとか、会社の新規事業としての出店で資金調達に不安がない方もいるでしょう。
そうではなく、自分の力でお金をため、独立開業を目指す方にアドバイスさせていただきます。
私の場合ですが、29歳の時に設計事務所を法人設立して開業しました。
その前の25歳の時に、個人営業として設計業を創業しています。
手書きの設計業なら、ドラフターと製図用鉛筆があれば良かったのです。
お金は全くといいほど持ってなく、稼いだ分すべて趣味つぎ込んでいる状況でした。
それでも、個人創業時にいつかそれなりの事務所を構え、人も雇い大きな仕事をできるようになりたいと決めました。
そのために必要なのは、やる気と能力と、やはりお金です。
お金をどのように貯めたらいいか。
私の場合は、信用金庫に行き、まだない事務所である「ヒロ設計室」という名義の通帳を作りました。
その通帳に、毎月自動送金で数万円を個人の通帳から移し替えるようにしました。
目標は500万。
事務所を構えるには、場所を借りるだけで敷金・礼金・保証金・前家賃等ですぐ100万。
事務所の設備や、当時高価だったCADシステムなどに数百万。
最初は仕事も収入も安定しないだろうから運転資金に数百万。
最低でも500万ぐらい貯金がないと話にならないと思いました。
また、500万ごとき貯められない奴が、会社を経営するなどできるわけがないと思いました。
まだ20代で若く、遊びたいこともやりたいこともありました。
全てを我慢できないので、収入の中から絶対毎月数万貯金できるように、別の口座に数万づつ送金することを始めたのです。
結果的に、4年間で貯めることができたのは300万ほどでした。
それを元に、兄夫婦からの出資金100万を合わせ、資本金とし信用金庫に出資証明の作成をお願いしました。
当時の信用金庫担当者が、数年前からの独立資金積み立てを評価してくれ、すぐに法人融資枠も作ってくれました。
予想通り、500万ほどはあっという間になくなりましたが、何とかすぐに新規設計業務の確保も出来てスタートが切れました。
私が事務所設立前の数年間で取った行動が、金融機関と取引先の信用を確保したのです。
誰かからいきなりお金をもらって入金しても、同じ評価は受けなかったでしょう。
コツコツ数年間かけて貯金したことが良かったと思います。
また、周りの人に数年後独立したいと言い廻っていました。
独立後、仕事を出してくれそうな人を訪ね歩き、すぐにタイミングよく下請けの図面作成業務にありつけました。
必死で働き、貯金を続けていたことを、みんな見てくれていたのです。
長々と、自分の経験をお話ししてしまいました。
言いたいことは、資金は自分の力で少しづつでも貯めることが重要だという事です。
いまは、あたらしい資金調達方法もありますが、信用を得るには毎月の積立が有効だと思います。
目標金額を定め、毎月の自動振替による貯金や定期預金を始めよう。